このページでは、Praat上で数式から純音や様々な周期波を作る方法を学びます。音声の音響分析に直接関係するわけではありませんが、音響音声学の基礎を理解するための過程として、このページを位置づけています。なお、このページは本サイト内の以下のページと対応しています。純音や周期波が何かを知りたい人は、まずこちらのページから読んでください。

純音

Praatでは、数式を入力することでSoundオブジェクトをつくることができます。オブジェクトウィンドウの上部メニューからNew > Sound > Create Sound from formula…を選んでください。これは、数式から音を作るコマンドです。(なお、その一つ上にある Create Sound as pure tone… でも純音を作ることはできますが、ここでは音響音声学の理解を目的としているため、あえて数式を用いる方法で行います。)

すると、以下のウィンドウが立ち上がるはずです。

ここで、Formulaの部分に数式を入力すれば、その数式の通りの音を作ることができます。

さて、「音響音声学の基礎」のページで学習したように、純音は以下の数式で表すことができます。(なお、最大振幅を A、周波数を f、時間を x とします。「音響音声学の基礎」のページでは時間を t としていましたが、ここでは Praat の Formula の表記の仕方にあわせ、x とします。)

$y = A\sin (2\pi fx)

ここで、最大振幅を 1/2 とし、周波数を 100 Hz とすると、以下のようになります。

$y = \frac{1}{2}\sin (2\pi\cdot 100x)

これをPraat上の Formula の表記法にあわせると、次のようになります。

1/2 * sin(2*pi*100*x)

これを、先ほどの Formula を入力する欄に入力してみましょう。また、上の方の Name: のところ(オブジェクト名)も変えてみましょう。例えば、100 Hz の純音なので、tone100 としましょう。

すると、オブジェクトリストに tone100 という名前のサウンドオブジェクトができるはずです。このオブジェクトについて、Play で聞いてみたり、View & Edit で波形を確認したりしてみましょう。SoundEditor上で拡大してみてみれば、以下のように綺麗な正弦の曲線が確認できるはずです。

先ほどの 1/2 のところや 100 のところの数字をいろいろと変えてみると、最大振幅と周波数の異なる様々な純音を作ることができます。

純音を足し合わせた周期波を作る

次に、複数の純音を足し合わせた周期波を作ってみましょう。周期波は、基音とその整数倍の周波数の倍音から構成されます。したがって、例えば 100 Hz、200 Hz、300 Hz の周波数の純音を足し合わせれば、それによってできる音は 100 Hz の周波数を持つ周期波の一種になります。(もちろん、これが唯一の 100 Hz の周期波ではなく、同じ周波数を持つ周期波のバリエーションは無限にあります。)

それぞれの振幅を 1/2、1/4、1/8として以下のように入力してみましょう。

このようにして作った音について、 Play で聞いてみたり、View & Edit で波形を確認したりしてみましょう。波形を拡大すると、以下のように見えるはずです。

自分で数式を変えて、いろいろな音を作ってみましょう。