※このページは名古屋大学文学部のオムニバス授業「人文学入門」(2020年度)のオンデマンド授業1回分として作成したものを、編集し直したものです。
皆さんはきっと、まわりの人の日本語の発音、あるいはメディアに出てくる人の日本語の発音を聞いて、自分と何か違うと思った経験があると思います。同じ言語ひとつとっても、発音は人によって少しずつ、ときには大きく異なります。皆さん自身と親の世代、祖父母の世代での違いを感じることもあるでしょう。また、大学に入ったり社会に出たりしていろいろな地域出身の人と出会うことで、地域差を実感することもあるかもしれません。皆さんは、そのような世代差や地域差について、具体的にどこがどう違うのか説明できるでしょうか?なんとなく違うと感じても、それを具体的に説明することは容易ではありません。この一連のイントロダクションの一つのねらいは、発音に関する具体的な事例をいくつか取り上げることで、具体的に何がどう違っているのかを理解することです。
このイントロダクションのねらいはもう一つあります。発音に関することは、言語学の中でもとりわけ、音声学と音韻論という分野の中で扱われています。上に述べたような具体的な事例、およびそれと関わる概念や分析方法を知ることで、音声学・音韻論という分野の一端を知ってもらうことが、このイントロンダクションの文章のもう一つのねらいです。
さて、今から3ページにわたって説明をしていきます。扱うトピックは以下の通りです。
- ア段+イ
- ガ行鼻音
- 国際音声記号
- アクセント
- 複合語アクセント
- 有声破裂音
- 音声の音響分析
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